古代丹後王国はあった!
物悲しく、しかし威風堂々とそびえる丹後王国の夢の跡。

このタワーは「丹後あじわいの郷」時代の今から24年前に建てられたものですが、築後わずか6年、丹後に大水害をもたらした台風23号により外壁を飛ばされるなど被災しました。直ぐに剥がれた外壁を修理すればよかったのですが、永く放置したため内部の劣化が進み廃墟となってしまいました。それと同時にタワーにつながる「王国の風が通る谷の橋」も使われなくなり、こちらも意味をなさない巨大構造物となりました。
現在、タワーは解体が決まり、跡地はスケートボードパークとしての活用計画もあるようですが、敷地面積や予算などの問題で難航しているようです。
橋はどうなるのか知れませんが、通ってみた限りではしっかりとした立派な橋でした。橋の上からバンジージャンプでもすれば面白そうですね。それか、イルミネーションを施し王国に掛かる虹と題した巨大アート作品にするとか・・・('ω')

橋の下には黄金色に染まる稲穂の絨毯が広がっていました。♡

王国からの橋を抜けるとすぐ下には古代丹後王国の遺跡「遠所遺跡」と「ニゴレ古墳」があります。

遠所遺跡は古墳時代から奈良時代かけての製鉄炉跡、鍛冶炉跡、木炭窯跡などの日本でも最古級の遺跡です。

遺跡の出土品から当時ここには、日本でも最先端のハイテク技術を持った集団が暮らしていたと考えられます。
原料の仕入れから製鉄、製造、製品の販売までの一貫したサプライチェーンがあり、そうした技術集団を束ねるにはそれなりの資本と社会組織が必要になります。当時の日本の文明から想像すると、飛びぬけた技術力と組織力で地域を支配する勢力があったと考えても不思議ではありません。やはり古代丹後王国は存在したのでしょうか。

しかし、それも遥か遠い昔の話、今では野原で立札だけがその存在を示しています。

人は去っても生命の営みは途切れることなく続いて来ました。

遠所遺跡のすぐ近くにはその当時この地域を治めていたと思われる権力者の墓「ニゴレ古墳」があります。
こじんまりとした古墳ですが、出土品には珍宝が数多くあり、鉄製甲冑、鉄剣、鉄鏃などは遠所遺跡との関りを伺わせ、形象埴輪には、船、家、腰掛、楯、靱、胄、など多種の器物を象った物が出ています。その中でも船の埴輪は珍しく、海を隔てた国との交易が盛んに行われていたと考えてもおかしくありません。

古代丹後王国に思いを馳せて空を見上げると秋の景色が広がっていました。
